海水魚飼育器具
一般的なオーバーフロー水槽は、飼育水槽の下に独立したろ過水槽があり、飼育水槽から落下した飼育水がろ過槽でろ過され、ポンプによって飼育水槽に送られる構造になっています。
飼育水槽と同じ位の大きさのろ過槽を使用することが多いので、ろ過能力は上部フィルターや外部フィルターに比べて格段に高いのが特長です。
一般的なオーバーフロー水槽
しかしこのような構造上、60cm水槽でもかなり大掛りなものになり、専用のキャビネットなどの使用に伴い相当重くなります。
そこで最近流行りつつあるのが、水槽の背面部分、正確に言えば水槽内の奥の部分を仕切ってろ過槽を設ける「背面ろ過」というろ過方法です。
背面ろ過水槽設置例(アクアプロショップ製)
背面ろ過は水槽内部の奥の部分をアクリル板などで仕切って背面にろ過槽を設け、仕切り板の上部に設けられたスリット状の排水口(オーバーフロー)からろ過槽に飼育水を排出し、ろ過された飼育水を水中ポンプを使って飼育槽に戻すという流れを繰り返してろ過する、ろ過槽一体型の水槽です。
水槽背面のろ過槽部分
この背面ろ過槽一体型水槽のメリットは、なんといってもスッキリしたデザインでしょう。
水槽上部は完全にフリーになり、ヒーターや各センサー類もろ過槽内に設置でき、給排水パイプなども見えないのでより自然な環境を再現できます。
ろ材、ヒーターなどを設置した実際のろ過槽
音も静かなのがこのろ過方法の特長です。
ろ過槽容量も大型の上部フィルターや外部フィルター以上に多く、構造も簡単なのでメンテナンスも楽です。
30cmクラスの小型水槽から60×45×45サイズまで市販されているようなので、コンパクトでろ過能力の優れた水槽システムをお探しの方にはピッタリの水槽だと思います。
紫外線(UV)を照射して飼育水を殺菌、滅菌する器具です。
殺菌ランプから発する253.7ナノメーターの紫外線は、水中では2.5センチしか透過しないため、殺菌灯の本体を筒状にしてその中に殺菌ランプを組み込み、筒の中に飼育水を循環させて殺菌します。
魚病の予防にはなりますが、病気になってしまった魚を治療する効果はありません。
あくまで魚病の元となる細菌を滅菌し、病気にかかりにくくするためのものです。
大型水槽には複数使用する場合が多い
殺菌灯にはポンプ無しタイプとポンプ内蔵タイプがあり、ポンプ無しタイプの場合は別に循環ポンプを設置するか、外部フィルターで循環させる必要があります。
その場合、殺菌灯の性能に見合った流量を循環させなければ、十分な殺菌効果が出ない場合があるので注意が必要です。
ポンプ内蔵タイプは、最高の殺菌効果が出るように流量が設定されているので、安心して使用できます。
ポンプ内蔵の水槽外掛けタイプ 設置が簡単
殺菌灯の出力(ワット数)は、水槽の水量によって選びます。
殺菌ランプには寿命があり、平均8000時間程度です。
殺菌灯は24時間点灯させておくものですので、1年程度の寿命となります。
餌の食べ残しや排泄物など、飼育水中には微細なゴミ(タンパク質)が浮遊します。
このゴミがやがて腐敗し、毒性の強いアンモニアを発生させます。
そこで、ゴミが腐敗する前に水中から外へ取り除いてしまおうと考え出されたのがプロテインスキマーです。
ドイツ人の発想で開発されました。
海水(塩水)にストーンなどを入れて、エアポンプで空気を送り込む(エアレーション)と非常に微細な気泡となって上昇します。
スキマー内の飼育水中のゴミは、この微細な気泡にくっつき包み込まれ、気泡の上昇力を利用して、スキマー上部に設けられたカップへゴミと泡だけが取り出されるようになっています。
外掛けタイプのプロテインスキマー
少し前までは、細かい気泡を発生させる「ウッドストーン」とエアポンプの組み合わせの「エアリフト式」が主でしたが、現在ではポンプ用い強い水流で気泡を発生させる「インジェクター」と呼ばれるタイプが、小型のスキマーでも主流となっています。
プロテインスキマーには、水槽の外側に掛ける「外掛け」タイプや、オーバーフロー濾過槽に設置するタイプ、水槽内や濾過槽内の水中に直接設置するタイプなどがあります。
大型ろ過槽用高性能タイプ スプレー方式インジェクション採用
水槽内やろ過槽内設置タイプの「内部式」スキマー
また、スキマー内に活性炭や各種吸着ろ材を入れるスペースを設け、浄化能力を高めた多機能なモデルも登場しています。